それは昼下がりのカフェでのこと。
「……で?」
神妙な顔をして、テラス席にいるのはベルヴァである。その目の前にはセマルドの姿が。
そんな表情の美女に真剣に迫られる男は、やや緊張気味の面持ちだった。
「……今日の、ルヴィア様は?」
ベルヴァの顔は至って大真面目だ。
セマルドは、息をのむ。
――今日のルヴィア様は?
そうベルヴァに言われたら、舎弟を自ら名乗っているセマルドは、彼女の欲望が満足するように言葉を選ばなければならない。
初めて問いかけられたとき。今日も美人でしたよーと答えたら、そうじゃない!!と往復ビンタをされたことを思い出す。
「えっと……きょ、今日は任務報告だけだったんで、ロズさんといたところをちらっと見ただけだったんすけど……」
「あら、チラ見? ……いいわね。視界の隙間を埋める花。……とてもいいわ」
ちなみにセマルドは、未だにベルヴァのツボを捉えられてはいない。今のベルヴァの反応も、彼にとっては予想外である。
「ロズ様といらっしゃったのね? お忙しそうだった?」
「あ、はい。それはもう。でも……俺が、お疲れ様ですって挨拶したら、そんな中なのに、微笑んで……貴方もね、って返してくれました」
ベルヴァの拳がテーブルを叩いた。
「うらやましいいいい!! なんで戦闘員っていうだけでご尊顔をタダで拝めるどころか、そんなログインボーナスみたいなものが受け取れるのよ!!」
いつの間にか、セマルドの襟はベルヴァの掌の中で、ぐしゃぐしゃだった。
「なんすかログインボーナスって!?」
「で、他には!? どんなボーナスもらったのよ!? 全部共有なさい!!」
カフェの店員は遠くから、今日も元気だなぁベルヴァさん……と静かに見守っているのであった。
今日のルヴィア様
冥界