雨間

ただのひとひら。彼らは今日もそこにいる

冥界

ユヴィのパフェチャレンジ

ジャックの手元のグラスから、ズズ……と音を立てて、淡い緑色のジュースが減っていき、なくなる。 氷がカランと音を鳴らし、丸く赤い小さな果実がグラスの底へと沈んでいってしまっているが、ジャックの目線は、目の前でスプーンと口を動かし続けるユヴィに...
冥界

町は動く

死神族と悪魔族との、とある合同任務の折。 死神軍の中でも戦闘に特化した刃鳴隊の若手であるオルダンは、次の任務の地が悪魔領内であることと、より辺境の場所ということもあって、前日から少数精鋭の一個隊を率いて悪魔領で宿をとることになった。 夜が来...
冥界

ティグ、へそ天する。

これは、ベルヴァとセマルドが知り合ってしばらく経った頃のことである。 ある日街中で、ベルヴァは見知った金髪の後ろ姿を見つけた。示し合わせたかのように振り返った彼は、ベルヴァを見つけると「姐さーん」と、いつものように人懐っこそうな笑顔を向けて...
冥界

ヴィドラ・ザガンの憂鬱

悪魔族戦闘員組織の中でも、上層の幹部に位置する六人で構成されているカルマロス。 その中でも異質な存在感を放っているのが、ヴィドラ・ザガンだ。 彼は人や物事を「意のままに操る」ことを得意としており、戦闘任務以外でも、参謀や族長から直々に命を受...
冥界

腐れ縁の二人

ヴィドラがグラスをゆるく傾けたその隣で、ラキーザとファビルはそろってジョッキをあおる。 まるで息があっている二人の仕草に、ヴィドラは目を細めた。「お二人は、付き合いが長いんだったね」 ヴィドラのその言葉に、ファビルは難しい顔をした。 すかさ...
冥界

猫草ジャック

ある日のことである。 ニノレムが暮らす毒蟲の森に、ジャックが立ち寄った。毒蟲だらけのその空間も、植物を操る彼にとっては居心地が良い。 鼻歌まじりに、迷うことなくニノレムの家を目指すジャック。 やがてたどり着くと、いつものように木の扉を開いて...
冥界

今日のルヴィア様

それは昼下がりのカフェでのこと。「……で?」 神妙な顔をして、テラス席にいるのはベルヴァである。その目の前にはセマルドの姿が。 そんな表情の美女に真剣に迫られる男は、やや緊張気味の面持ちだった。「……今日の、ルヴィア様は?」 ベルヴァの顔は...