ジャックの手元のグラスから、ズズ……と音を立てて、淡い緑色のジュースが減っていき、なくなる。
氷がカランと音を鳴らし、丸く赤い小さな果実がグラスの底へと沈んでいってしまっているが、ジャックの目線は、目の前でスプーンと口を動かし続けるユヴィに釘付けだった。
「……ん? どうしたの? 食べたかった?」
ユヴィがアイスと生クリームをスプーンですくい上げて、柄の長いスプーンをジャックに差し出す。
「いや……だいじょぶ」
「そう?」
それをそのままパクリと、頬張るユヴィ。
「なぁ、このあと、肉食いに行かね?」
セマルドがテオとジャックを眺めながら言う。
「腹へったし」
テオもグラスの中身を飲み干したところだった。小さく頷く。
「確か近くの酒場で、新しい肉料理出たってきいたな。辛めのヤツ」
「おっ、マジか。じゃあそこ行くか。ジャックもくるだろ?」
ジャックはグラスを置きながら、ほじくり出した赤い果実を口の中に放り込んで顔をしかめた。
「えー、俺、辛いの苦手」
「お子様舌め。しかたねーから蜂蜜たっぷりかけてやるよ」
そのとき、スプーンをテーブルに置く音が響き、ユヴィが目を輝かせた。
「蜂蜜ソースがけの肉料理!? 行く! 行きたい!」
ジャックが返事するよりその反応は早かった。
彼女の目前には、非常に巨大な、空の透明な器があった。最早そこには、十人分の巨大パフェがあったことなど、誰にもわからないぐらいの器の透き通る様子に、三人の目が一瞬丸くなる。
すかさず、セマルドが立ち上がった。
「よーっし。ユヴィの腹ごしらえも終わったところだし、飯行こうぜー」
続いてテオ、ジャックも立ち上がり、ユヴィもついていく。
「あのパフェの代金、タダでいいのか? ほんとに」
「オープニング記念のチャレンジらしいぜ。ひとりで食べきったら無料でオッケーだって」
「あーおいしかったー。また来ますねー!」
ユヴィの輝く笑顔の向こうには、床に膝と掌をついたエプロン姿の男がいた。
ユヴィのパフェチャレンジ
冥界