筆が落ちたばかりに。その一瞬が生まれる。
冥界 族長と参謀 悪魔族篇
ルヴィアは朝から、執務室の机上に積まれている書類の束を見て、うんざりと肩を落としていた。「もう、今日も書類が山積みじゃない……」 その脇で茶葉を入れている容器の中を見ながら、首席参謀のロズが答える。「昨日、目標枚数の達成前に帰られたじゃない...
冥界 ふとしたときに。
セマルドは遠巻きに、テオが待ちぼうけしている姿を見つけた。 建物の壁にゆったりと背を預け、少し退屈そうな表情で佇んでいる。 待たせたかもなぁ、と思いつつ、セマルドは足早に近づいていった。気配と足音に気がついたのか、テオのまつげがぴくりと揺れ...
冥界 娘は、知っている。
ネフィラが見守る中、ザヴァは相変わらず、手際の良さを見せつけるように料理を作り、飲み物をいれていく。 カウンターから見えるオープンキッチンは、ザヴァひとりしかいないのに、まるで数人で切り盛りしているようだった。 棚には多くの酒瓶。 似たよう...