冥界 族長と参謀 悪魔族篇
ルヴィアは朝から、執務室の机上に積まれている書類の束を見て、うんざりと肩を落としていた。「もう、今日も書類が山積みじゃない……」 その脇で茶葉を入れている容器の中を見ながら、首席参謀のロズが答える。「昨日、目標枚数の達成前に帰られたじゃない...
冥界 ユヴィのパフェチャレンジ
ジャックの手元のグラスから、ズズ……と音を立てて、淡い緑色のジュースが減っていき、なくなる。 氷がカランと音を鳴らし、丸く赤い小さな果実がグラスの底へと沈んでいってしまっているが、ジャックの目線は、目の前でスプーンと口を動かし続けるユヴィに...
冥界 町は動く
死神族と悪魔族との、とある合同任務の折。 死神軍の中でも戦闘に特化した刃鳴隊の若手であるオルダンは、次の任務の地が悪魔領内であることと、より辺境の場所ということもあって、前日から少数精鋭の一個隊を率いて悪魔領で宿をとることになった。 夜が来...
百ノ雨粒 百ノ雨粒 007
ある高校生の司法解剖を担当した。将来を有望視されていたとても優秀な生徒の、期末試験中の突然死。彼の胃からは数式と英文がびっしり書き込まれた紙が出てきた。「これが凡人との差か」思わずそんな言葉が漏れた。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒 百ノ雨粒 006
シャンパンタワーにわく店内。着飾った男女達。ひと仕事を終えた後の祝杯だ。今宵の主役である男が通る声で叫ぶ。お集まり頂きありがとう、罪人の皆様。全員が素早く懐に手を差し入れる。中央にて男は口角をあげた。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
冥界 ティグ、へそ天する。
これは、ベルヴァとセマルドが知り合ってしばらく経った頃のことである。 ある日街中で、ベルヴァは見知った金髪の後ろ姿を見つけた。示し合わせたかのように振り返った彼は、ベルヴァを見つけると「姐さーん」と、いつものように人懐っこそうな笑顔を向けて...
一遍 水面は揺れても
その女は、自分の顔に自信があった。 物心ついたときから、まるで人形のような子だと撫でられ、学生のときは愛の告白を多く受け、それは隣町からも届いた。 社会に出ては、たいしてお願いもしていないのに少し言葉をかけると周りがいうことを聞いてくれるも...
冥界 ヴィドラ・ザガンの憂鬱
悪魔族戦闘員組織の中でも、上層の幹部に位置する六人で構成されているカルマロス。 その中でも異質な存在感を放っているのが、ヴィドラ・ザガンだ。 彼は人や物事を「意のままに操る」ことを得意としており、戦闘任務以外でも、参謀や族長から直々に命を受...
百ノ雨粒 百ノ雨粒 005
とん、と誰かに肩をつつかれる。すると声が一音だけ耳元に響く。て。今日はそう聞こえた。また別の日には。こ。少し前にも聞いた音だ。振り返っても誰もいない。その前は、き、とか、ち、とかだったのを覚えている。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
あの世四界 大閻羅と七閻魔
ここは、重き魂がたどり着くあの世——落界(らっかい)。 人の世では、地獄、冥府、はたまた黄泉と様々な言葉で表されているが、罪を抱えて“落ちる場所”であることに変わりはない。 今日も今日とて、落界の裁判の場に立たされる、落ちた魂がひとつ。彼の...