作品形式別

百ノ雨粒

百ノ雨粒 004

主人を裏切り、敵を焼き、男はようやく頂点の座についた。そんなにうちが欲しかったんどすなぁ。煙の向こうから女の笑い声が聞こえた気がした。けど残ったんは灰だけどすえ。時は経ちすぎていた。都が、燃えている。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
冥界

ふとしたときに。

セマルドは遠巻きに、テオが待ちぼうけしている姿を見つけた。 建物の壁にゆったりと背を預け、少し退屈そうな表情で佇んでいる。 待たせたかもなぁ、と思いつつ、セマルドは足早に近づいていった。気配と足音に気がついたのか、テオのまつげがぴくりと揺れ...
百ノ雨粒

百ノ雨粒 003

数年前に父を亡くしてから、家の食卓は母と二人きりになった。雨が降ると、私の斜め前の席に母がお膳を並べるのも慣れた。母は嬉しそうだ。だがそこに座っているのは父ではないということだけを、私は知っている。🎵 音で読む(インスタ)ひとつまえもうひと...
冥界

腐れ縁の二人

ヴィドラがグラスをゆるく傾けたその隣で、ラキーザとファビルはそろってジョッキをあおる。 まるで息があっている二人の仕草に、ヴィドラは目を細めた。「お二人は、付き合いが長いんだったね」 ヴィドラのその言葉に、ファビルは難しい顔をした。 すかさ...
一遍

羊の角に糸を貸す

お前のことを探している女がいるぞ、という話をセマルドセマルド・レカム悪魔族。外見年齢二十代前半の男。紋様術の使い手で、戦闘員。詳しくはキャラクター紹介ページへ。が聞いたのは、行きつけの酒場でのことだった。 いち戦闘員としての任務終わり。いつ...
百ノ雨粒

百ノ雨粒 002

ペン一本で線を引き続けていると曲がったり、ぐるぐるとしてしまったり。か細い時もすべてを塗り潰してしまいそうな時もある。そしてある時インクが無くなり線は途切れる。でも新しいペンをまた握る。私が在る限り。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒

百ノ雨粒 001

夜行列車に乗った時のことだ。風を切る音に混じり聞こえる呼び声。覚えがある気がして、駅に着いてからホーム沿いに遡る。それは列車の横腹に張りついていた。ひしゃげた首が振り子の様だった。🎵音で読む(インスタ)もうひとつ百ノ雨粒トップ
冥界

第八話 救出

埃臭く、古さが時間を問わず空気として漂う室内。 リベルは中立図書館の中でも、この空間が特に好きだった。 職員の中でも一定以上の勤続年数がないと入室の許可を得られない、特別書庫。冥界中の様々な禁術に関する書物が収められ保管されているそこは、こ...
冥界

娘は、知っている。

ネフィラが見守る中、ザヴァは相変わらず、手際の良さを見せつけるように料理を作り、飲み物をいれていく。 カウンターから見えるオープンキッチンは、ザヴァひとりしかいないのに、まるで数人で切り盛りしているようだった。 棚には多くの酒瓶。 似たよう...
冥界

第七話 感染源

背後で扉がしまっていく。外の光は細くなり、徐々に消失していき、それと同時に周囲の音もなくなった。 腰のポケットを暗闇の中で探る。硬質な棒状のそれを探し当て、するりと抜くと、緑色の淡い光が生まれた。 木製の柄に鉱石を加工して作られた小型のナイ...