百ノ雨粒

百の雨粒が語る物語。

百ノ雨粒

百ノ雨粒 007

ある高校生の司法解剖を担当した。将来を有望視されていたとても優秀な生徒の、期末試験中の突然死。彼の胃からは数式と英文がびっしり書き込まれた紙が出てきた。「これが凡人との差か」思わずそんな言葉が漏れた。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒

百ノ雨粒 006

シャンパンタワーにわく店内。着飾った男女達。ひと仕事を終えた後の祝杯だ。今宵の主役である男が通る声で叫ぶ。お集まり頂きありがとう、罪人の皆様。全員が素早く懐に手を差し入れる。中央にて男は口角をあげた。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒

百ノ雨粒 005

とん、と誰かに肩をつつかれる。すると声が一音だけ耳元に響く。て。今日はそう聞こえた。また別の日には。こ。少し前にも聞いた音だ。振り返っても誰もいない。その前は、き、とか、ち、とかだったのを覚えている。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒

百ノ雨粒 004

主人を裏切り、敵を焼き、男はようやく頂点の座についた。そんなにうちが欲しかったんどすなぁ。煙の向こうから女の笑い声が聞こえた気がした。けど残ったんは灰だけどすえ。時は経ちすぎていた。都が、燃えている。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒

百ノ雨粒 003

数年前に父を亡くしてから、家の食卓は母と二人きりになった。雨が降ると、私の斜め前の席に母がお膳を並べるのも慣れた。母は嬉しそうだ。だがそこに座っているのは父ではないということだけを、私は知っている。🎵 音で読む(インスタ)ひとつまえもうひと...
百ノ雨粒

百ノ雨粒 002

ペン一本で線を引き続けていると曲がったり、ぐるぐるとしてしまったり。か細い時もすべてを塗り潰してしまいそうな時もある。そしてある時インクが無くなり線は途切れる。でも新しいペンをまた握る。私が在る限り。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒

百ノ雨粒 001

夜行列車に乗った時のことだ。風を切る音に混じり聞こえる呼び声。覚えがある気がして、駅に着いてからホーム沿いに遡る。それは列車の横腹に張りついていた。ひしゃげた首が振り子の様だった。🎵音で読む(インスタ)もうひとつ百ノ雨粒トップ