百の雨粒が語る物語。
百ノ雨粒 百ノ雨粒 005
とん、と誰かに肩をつつかれる。すると声が一音だけ耳元に響く。て。今日はそう聞こえた。また別の日には。こ。少し前にも聞いた音だ。振り返っても誰もいない。その前は、き、とか、ち、とかだったのを覚えている。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒 百ノ雨粒 004
主人を裏切り、敵を焼き、男はようやく頂点の座についた。そんなにうちが欲しかったんどすなぁ。煙の向こうから女の笑い声が聞こえた気がした。けど残ったんは灰だけどすえ。時は経ちすぎていた。都が、燃えている。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒 百ノ雨粒 003
数年前に父を亡くしてから、家の食卓は母と二人きりになった。雨が降ると、私の斜め前の席に母がお膳を並べるのも慣れた。母は嬉しそうだ。だがそこに座っているのは父ではないということだけを、私は知っている。🎵 音で読む(インスタ)ひとつまえもうひと...
百ノ雨粒 百ノ雨粒 002
ペン一本で線を引き続けていると曲がったり、ぐるぐるとしてしまったり。か細い時もすべてを塗り潰してしまいそうな時もある。そしてある時インクが無くなり線は途切れる。でも新しいペンをまた握る。私が在る限り。ひとつまえもうひとつ百ノ雨粒トップ
百ノ雨粒 百ノ雨粒 001
夜行列車に乗った時のことだ。風を切る音に混じり聞こえる呼び声。覚えがある気がして、駅に着いてからホーム沿いに遡る。それは列車の横腹に張りついていた。ひしゃげた首が振り子の様だった。もうひとつ百ノ雨粒トップ